大会名: 2018 MTBA XC NATIONAL SERIES ROUND7 & ROUND8
開催日: 2018年3月24-25日
開催場所: オーストラリア・キャンベラ・Stromlo Forest Park
カテゴリー: UCI
Class3 エリート男子
リザルト: 1日目5位 2日目6位
天 候: 晴れ
コースコンディション: ドライ
2日間に渡ってオーストラリアで開催されたUCI Class3のレースに参戦してきた。このレースはオーストラリア国内でのシリーズ第7戦&最終戦でもある。オーストラリアは日本と季節が逆になるため、10月〜3月までがMTBシーズン真っ只中。ここを主戦場としているオーストラリアの選手は非常にレベルが高く、彼らと競り合うことはMTBシーズンが始まったばかりの自分にとって非常に良い刺激となる。
首都キャンベラにあるStromlo Forest Parkという広大な敷地のバイクパークの中には1日では走り切れないほどの無数のトレイルが存在している。2009年には世界選手権が開催された場所でもあり、コースの難易度は世界トップクラスと言って間違いない。
路面は固くしまっていてスピードに乗りやすい。しかし人工的なロックセクションやジャンプ、バームセクションが主体となって構成されているために、それらをスムースにクリアするテクニックが無ければせっかく出たスピードを殺してしまうことになる。そして上手い選手ほどセクションごとにどんどんとスピードをのせていき、無駄な力を使わずにより速く走ることができる。非常に上手く造り込まれているコースである。そして子どもの頃からこの場所で技術を磨いてきたであろう地元オーストラリアの選手たちは誰もが上手い。3年前に同じ場所でレースをした時も彼らの下りのスピードに圧倒された。ポイントとなりそうなセクションは試走の時にしっかりと確認したが、1番重要なことはレース中に単独での走行を避けること。位置取り争いでペースが上がりそうな場所をコースの特徴から想定し、思い通りにレースが進むように心身ともに万全の準備をして臨んだ。
【1日目】
スタートは2番コールで一列目から。1番コールでオーストラリアチャンピオンのキャメロン選手はワークスチームに所属するトップ選手で頭一つ抜けている存在と言える。スタートダッシュは6番手あたりにつけて、最初のシングルトラックへ。落ち着いて前の選手に付いていく。ダブルトラックへ出た瞬間から位置取りを争ってスピードが上がるが、これには問題なく対応して順位を上げることができた。脚の調子はかなり良さそうだ。先頭パックでレースを展開することができている。下りではとにかく前の選手のライン取りやブレーキングをできる限り真似をすることで何とか付いていく。誤魔化しが効かずに離れてしまう箇所もあるが、少しの差であれば登りで取り返すことができた。
2周目に入るとキャメロン選手が圧倒して早くも独走体制。そして2位の選手から少しのタイム差で自分を含む3人の3位パックが追走する形となる。登りを使って単独で2位の選手に追いつき、苦手な下りを引っ張って貰えれば表彰台にかなり近づく。そう思って積極的に踏み込んでいった。
3周目。あと少しのところで2位の選手には追いつけなかったが、単独3位となることができた。後続の2人には登坂力では優っている自信があるが、やはり下りで数秒は縮められてしまうので油断ならない。だが自分が予想していた以上に身体が良く動いていることが楽しく、とてもレースに集中できていた。
しかし4周目。パフパフに乾いた下りセクションで前輪を取られて派手に落車。もっともやってはいけないミスを起こしてしまう。曲がったハンドルを直している間に2人に抜かれる。しかも落車の影響でフロントブレーキを破損してしまい、かなり走り難い状況。心が折れかけるが、まだ前の2人は見えているので諦めずに追いかける。
5周目。4位に上がるが落車のときに打ち付けた脚が固まって登りも辛くなってきた。下りはブレーキが破損しているので再び転倒しないように走るので必死。なかなかリズムを戻せないうちに3位の選手に離され、後ろの選手に再び追いつかれてしまう。4位争いをかけて最終周回へ。
この展開で競り勝つには下りに先頭で入って蓋をしてでも自分のペースで走り、登りで勝負をかけるしかない。相手もそれは分かっているので、ダブルトラックで位置取りを争ってアタックを掛け合う。死力は尽くしたが、もう足は残っておらずに下りに先に入られてしまった時点で勝負あり。5位でのフィニッシュとなった。
なんとかUCIポイントは1ポイント獲得できたが、表彰台を逃したことが本当に悔しい。しかし今日のレースでの自分の走りは去年までの自分にはできなかったパフォーマンスであり、確実に成長を感じることができて大きな自信となった。落車の影響で身体中は痛いが、前向きな気持ちで翌日のレースに備えることができた。
【2日目】
レースの興奮と落車の影響であまり良く眠れなかったが、心配していたほど打ち付けた脚の痛みはない。壊れたバイクも小林監督に完璧に整備して頂き一切の不安はない。前日と同じ流れで朝のアップと食事を済ませて会場入り。調子が良いレースができた後ほど身体へのダメージも大きいので、昨日より苦しい展開になる覚悟を持って2日目に臨んだ。
コースは前日とは変わり、長く登って一気に下ってくるクラシカルタイプなコース。疲労している脚にとっては前日のコースほど斜度がキツくない登りは助かるが、ダウンヒル区間の難易度は増していて下っている時間も長くなる。どちらかと言えば昨日よりも苦手意識のあるコースではあったが、昨日果たせなかった表彰台に登るチャンスは今日しかないので意気込んでいた。
スタートはペダルキャッチを完全に失敗してしまい一瞬大きく出遅れるが、この後に長い登りを控えていることと強い向かい風の影響があってか昨日ほど集団のスピードは速くない。なんとかシングルトラックに入るまでに8番手あたりまで順位を戻すことができた。ダブルトラックでは前日同様に位置取りをかけてペースが上がるが、この時点で昨日ほどの脚のキレがないことを感じてしまう。なんとか先頭集団の後ろとなる6番手で長い登りへ入った。斜度は緩いもののタイトターンの頻発する登りなどで、どうしても前の選手と詰まってしまって走り難い。ストップ&ゴーを繰り返すインターバルのような走りになってしまったことでかなり脚を削られてしまった。シングルトラックを登り切ってから下りに入るまでの間に僅かにコース幅が広がる区間があるのだが、ここでの位置取り争いに参加できずに先頭集団から遅れてしまう。後ろから選手も来ないので早々に単独での走行となってしまった。
2周目。登り区間でも先頭集団との差は広がっていく。まだ2周目だが昨日のレースの最終ラップのように脚が辛い。後ろから2名の選手が追い上げてきているのが分かったが、あまり気にせず前だけを見てスムースな走りを心掛ける。
3周目。2分後ろからスタートしたジュニアクラスの世界チャンプに追いつかれてしまった。彼の後ろに付いて走り方を真似してみるが、ライン取りや加速のタイミングなどあらゆる細かい技術を積み重ねた本当にスムースな走りだった。ケイデンスが常に一定で全くブレがない。なんとか登り終わりまでは食らいつくことができたが、下り区間に入ればダウンヒル選手かのようにジャンプを多用して加速していくので、あっという間に離されてしまった。
4周目。先ほどの周回で走りのリズムを取り戻してきたことで今できる最大限のペースを保てている。6番手の選手を視界に捉え、ファイナルラップ手前で追いつく。
そして最終周回。20秒ほど前に5番手の選手も見えてきた。彼を抜かせばUCIポイントを獲得できるので最後の力を振り絞る。しかし下り区間でバイクを抑えられずに転倒。バイクが綺麗に一回転したが、幸い身体にもバイクにもトラブルは無くすぐに立ち上がって走り出すことができた。
昨日に引き続いて砂埃まみれとなって6位でゴール。目標であった表彰台とUCIポイントは獲得できなかったが、オーストラリアの観客からの暖かい拍手に迎えられると全てを出し切った清々しい気持ちになれた。共にレースを戦った選手と言葉を掛け合う時間も最高に気持ちが良かった。
2周目から最終周までほぼ同じラップタイムで走り切れたことは、このレースの良かった点でもあり課題でもある。やはりレベルの高いレースほど序盤の位置取りが全てと言っていいほど重要で、2日続けては表彰台に絡む走りができなかった自分にはまだまだスピードが足りていない。もちろん下りのスピードも足りていないが、最初の登りで先頭集団に残るだけの脚があれば周りの選手に合わせて単独では出せない速度で下れることもよく分かった。こういったレースでしか味わえないような経験が刺激となって、これから更に調子を上げていけるはず。今年は良い形でシーズンをスタートできているので、過去最強の自分に必ず辿りつけると思う。
そしてシーズン前半最大の目標である5月のアジア選手権まで残り40日ほどとなった。ここからの貴重な時間を大切に過ごしていきたい。
次戦はアメリカでのUCI
H-Classの2連戦を走ります。ワールドカップ並みにレベルの高いレースとなるので、日本でしっかりと身体を整えて万全の体調で臨みたいと思います。
応援、サポートありがとうございました!
TEAM BRIDGESTONE Cycling
沢田 時
使用機材
サスペンション SR
SUNTOUR AXON
シューズ
SHIMANO S-PHYRE XC9
ヘルメット Kabuto ゼナード スペシャル・チームカラー
グローブ Kabuto PRG-5(ブラックレッド)
Legge
Fit Pro
Jawbreaker(PRIZM ROAD)
レース前:ピットインエネルギージェル
栄養ドリンク風味(カフェイン入り)
レース中:VAAM
レース後:リカバリーメーカーゼリー
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