大会名: 第33回全日本MTB選手権大会
開催日: 2020年11月8日
開催場所: 長野県・富士見パノラマスキー場
カテゴリー: エリート男子
リザルト: 3位
天 候: 晴れ
コースコンディション: ドライ
2020年のMTBシーズンラストレースにして、最大目標である全日本選手権を迎えた。
一時はコロナの影響で大会の開催さえ心配される中、延期と開催地変更を重ねながらも無事に全日本を迎えられたことは本当に有り難い。大会関係者の皆さまに感謝致します。
僕個人、そしてチームとしてもここで勝って日本一になることを第一目標として、ここまで一切の妥協なき準備を進めてきた。
もちろん全日本に勝つということは山本幸平選手に勝つということ。それが簡単でないことは理解していたが、2月のアジア戦での惨敗から今日まで自分にできることは全てやってきた。峠をアタックすれば去年ロードで出したタイムをMTBで更新できるほどにフィジカル面は進化。チームで頻繁に行なってきた周回トレーニングでも過去にない速さで走ることができる。エリートに上がってからこんなにも勝つことへの自信と、楽しみが溢れて迎えられた全日本は今回が初めてだった。日本一は僕の子どもの頃からの夢だが、今やそれは僕一人の夢ではない。チームの第一目標であり、果たさなければならない仕事であり、僕を支えて応援してくれている人の夢でもある。自分の為だった夢で人を感動させることができるなら、選手としてこんなにも幸せなことない。
会場である富士見パノラマは11月ということもあって流石に朝晩は冷え込むが、決勝当日の天気は快晴で暖かく、絶好のレース日和となった。
コースは例年通りのレイアウトながら前半部分にタイトなコーナーが増えている。昨夜の雨の影響で滑り易くミスが出易い箇所も多いため、集団はあっという間に分裂するだろう。
13時半のスタートに向けて、朝目覚めた瞬間から集中していた。朝のストレッチからローラーでのウォーミングアップでの内容さえ、この日の為に色々と試してきた。いつも通りの準備をこなしていくうちにスタートラインに付いており、珍しく緊張も感じない。ただ自分の全てを出し切ることに集中していた。
2周目。ホームストレートでペースが落ちて牽制が入るが、まだ登りの序盤なので前に出ないことを選択。10秒後ろにチームメイトの星矢さんがいる状況なので、追いついて3人パックになれば心強い展開。幸平さんはそれを嫌ってか芝生の登りで再びペースを上げてくる。対応はできたが一度インターバルを挟んだからか先ほどより苦しく感じた。なんとか着いて下りに入るが、心拍が下がらずコーナーの立ち上がりの加速に対応するのが苦しい。コーナーの処理に手間取り2秒ほど遅れてしまったが、この差が致命的だった。バームが連続する長い登りを1周目と変わらないスピードで登り続ける幸平さんから徐々に遅れをとる。この登りはスピードが出るほど楽に登れることは分かっているのだが、悔しいことに脚がこれ以上動かなかった。星矢さんに抜かれて2人の2位パックとなり、2周目を終える。この周だけで一気に40秒近く離されしまった。
3周目。もし一緒に走っているのが星矢さんでなかったら、直ぐに千切れて僕のレースは終わっていただろう。それほど苦しい時間だった。しかし星矢さんがこの全日本に懸ける想いを知っているからこそ、絶対にこれ以上遅れるわけにはいかなかった。これまで星矢さんの全日本とアジア戦での卓越したパフォーマンスと、その為の妥協なき準備を何度も見てきた。星矢さんがいたから僕も本気で日本一を目標とできたし、そのための努力がいかに厳しいものかを知ることができた。今の自分は前を引くことはできないが、一人より二人のパックの方が必ず速く走れる。そして先ほど僕が遅れた長い登りで星矢さんは幸平さんとの差を僅かに詰めていた。まだ僕も星矢さんもフィードにいるチームの誰もが日本一を諦めていない。
4周目。残り2周回。この周で差を詰められなければ自力での優勝は難しくなる。ホームストレートの登りで苦しそうな星矢さんに変わって自分が先頭に立つ。とにかく力の残っている方が前に出てペースを落とさないことだ。それでも幸平さんとの差はジリジリと開いている。
5周目。最終周回。星矢さんから少し先行して2番手で入る。先頭とのタイム差は75秒。ゴールに向けてラストスパートをかける星矢さんはスピードが格段に上がり、長い登りで離されてしまう。一瞬気持ちが切れかけるが、応援の声に助けられる。最後まで全力で追い込み、自分の全てを出し切った。3位でのフィニッシュとなった。
悔しいが完敗であった。勝つための自分の動きにミスはなく、万全の体調とメンタルを持ってしても勝てなかった。2周目に幸平さんから離れてしまったこと、その後にタイム差を詰めている星矢さんを助けられなかったこと。悔しい場面が思い出される。来年の全日本に向けての具体的な課題を今のうちに考えておくと、今回苦しめられた独特の踏み方をするバームの長い登りの強化、下りでブレーキングを減らしてコーナーを抜けるスキル、あとは本格的な高地トレーニングの導入も必要かもしれない。この全日本を迎えるまでは完璧な準備ができたと思っていたが、終わってみれば足りていなかった自分の弱い部分に気づくことができた。本気で準備して挑んだレースから得られるものはとても多い。このレースも必ず将来の自分の成長に繋げたい。
そしてこの日のために本当に多くの方にサポートと応援を頂けた事に感謝します。
ありがとうございました。
全日本に向けてチームのみんなで本気で過ごしてきた日々は、僕を大きく成長させてくれました。これからも今日までの日々に負けないような時間を常に更新し、もっと強く進化したいです。
まずは3週間後の全日本シクロクロスに向けて、最大限の準備を進めます。
全日本は勝つための場所。最高の舞台で、今度こそポディウムの真ん中に登ります。
TEAM BRIDGESTONE Cycling
沢田 時
髙田さん、写真ありがとうございます!
使用機材
コンポーネンツ SHIMANO XTR M9100シリーズ(http://www.shimano.co.jp)
シューズ SHIMANO S-PHYRE XC9
サスペンション SR SUNTOUR AXON
ヘルメット Kabuto IZANAGI スペシャル・チームカラー
グローブ Kabuto PRG-5(ブラックレッド)
ウエア Wave One (http://www.wave-one.com)
サングラス OAKLEY
Jawbreaker(PRIZM TARAIL TORCH)
サプリメント SAVAS(株式会社明治)(http://www.meiji.co.jp/sports/savas/)
レース中:ピットインエネルギージェル
栄養ドリンク風味(カフェイン入り)
VAAM
レース後:リカバリーメーカーゼリー
メーター Pioneer SGX CA-600 (http://pioneer-cyclesports.com/jp/)
ヘッドバンド HALO (https://www.haloheadband.jp)
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