2月のシーズン初戦に続き、再びギリシャでのUCIステージレースとXCOに参戦。
結果、ステージレースは総合6位、XCOは7位となってUCIポイントを合計51P獲得。
これまでの経験を生かして5日間のレースのそれぞれで大きなミスなく全力を尽くしてフィニッシュできたことへの充実感、そして貴重なUCIポイントを大量に獲得できて満足のいく遠征とすることができました。
以下がレースレポートです。
大会名: Sparta
MTB Stage Race
開催日: 2019年4月3日〜6日
開催場所: ギリシャ・Sparta
カテゴリー: S2
リザルト: 6位
ギリシャにきた一番の目的は前回と同様にオリンピック選考が始まる5月からの本格的なシーズンに向けてのコンディション造りのためであるが、今回はUCIポイントの獲得もしっかりと意識して目標に定め、日本で準備を行なってきた。春先のうちにUCIポイントを大量に獲得しておくことは、レースでのスタート位置や国際レースの選考などあらゆることに有利に働く。身体のコンディションも確実に上がってきていて前回以上の走りができる自信は十分にある上、前回のレースよりもUCIランクの落ちるS2カテゴリーであるからこそ、上位に入ることができればポイントを獲得しやすいレースでもある。
今回は4日間のステージレースから休息日を挟まずに5日目はXCOレースというハードなスケジュール。ステージレースは4日間の総合タイムで成績が決まるため、毎ステージで機材トラブルやハンガーノックといった大きくタイムロスに繫がるようなミスを犯さないことが重要。5日目のXCOに関しては誰もが疲労している中でのワンデーレースであるので、多少のリスクは覚悟してでも最後の力を振り絞って全力で攻めていかなければならない。
まずは4日間のステージレースで確実にポイントを取ることを目標にしてレースに臨んだ。
【Stage1:XCT 20km】
リザルト: 10位
天 候: 晴れ
コースコンディション: ドライ
初日は個人タイムトライアル。苦手意識のある種目であるが、今回は20kmのコースを1周する長いタイムトライアルであるため、ここで大きくタイムを失ってしまうと明日以降に取り返すのに苦労するので上位と最小限のタイム差で終えたいステージ。コースは10km地点まで長い登りがずっと続き、そこからハイスピードのダブルトラックを一気に下る。ラスト1km地点からは激登りが連続してゴールとなる。前日に試走を一周しただけでは完全にコースを覚え切ったとは言えないが、大体のレイアウトを頭に叩き込んでスタート。登りが長いので落ち着いてスタートするつもりが、ついつい最初から飛ばしすぎてしまったようで山頂までがとてつもなく長く感じる。標高1400m地点ほどまで登るのだが、山頂に近づくにつれて斜度は緩むが向かい風が強くなってくる。タイム短縮のためにはここで踏めるかが最も重要であったことに気づくが時すでに遅い。下り区間はミスなく攻めることができて最後の激登りもしっかりと踏み切ってゴール。ギリギリでトップ10のタイムとなった。全力で走ったことでコースの特徴はかなり掴むことができた。トップ5までは3分ほどの差と大きいが、第2、第3ステージで今日と同じコースを合わせて5周するので、まだまだ挽回は可能である。
【Stage2:XCM 60km】
リザルト: 5位
天 候: 晴れ→雨
コースコンディション: ドライ
第2ステージは昨日と同じコースを3周するマラソンレース。最も距離が長くてタイム差が広がりやすいステージであるので、総合成績のためには非常に大事な日となる。
パレード走行はなかったが、最初の登りが長いので緩やかなペースでレースがスタート。それでも全力ではないが緩まないペースに少しずつ耐えきれなくなってしまい5名ほどの先頭集団から脱落。第2集団は無理をすればつけそうであったが、残りの距離を考えてペースの合う第3集団で一旦脚を休める。昨日の反省から向かい風の強い山頂付近では集団の後ろについて体力を温存させ、登り終わりでペースを上げて集団から抜け出した。下りは単独となってしまったが危険のない範囲で攻めることができ、すぐ前に2人の選手が見える9位の位置で1周目を通過。
登りの中腹で8位の選手に追いつく。一気に追い抜いて引き離そうとしたが、再び差を詰められた上にこの後は向かい風区間なので、後ろについて体力を温存することを選択。この選手は下りも速く、千切れないように集中してついていくことで7位の選手に追いつくことができた。激登り区間で3人パックから抜け出し単独7位となってラストラップへ入る。
20秒ほど前には2人のパックが見えている状況で、本日3回目にして最後の10kmのヒルクライムが始まった。前の2人は自分が追いついてこないようにペースを上げているので、なかなか差が詰まらずに我慢比べの時間が続く。得意な斜度の登りになったところで一気にペースを上げて登り終わりまでになんとか追いつくことができた。かなり脚を使ったが、一旦追いついてしまえば丁度よく向かい風区間ということもあって後ろで脚を休めることができた。3人の5位パックの中で自分が最も総合タイムが悪いので、総合成績を上げるには彼らにタイム差を付けてゴールしなければいけない。そのため最後の登りで渾身のアタック。1人は引き離せなかったが、ここで思いがけず先頭集団から脱落したフランスの選手が見えてくる。一気に追い抜いて2人の4位パックとなった。
後はゴールまでの長い下りと激登りを残すのみ。下りで後ろについて引っ張ってもらおうと思ったが、かなりハイスピードで下る選手でついていくことができない。またここにきて雹混じりの冷たい雨が降ってきて、身体も冷えてくる。ここの下りで無茶をしてパンクや落車で全てを失うことは絶対に避けたかったので、確実に5位となって後ろの選手とのタイム差を広げることに集中。雨で身体が冷えたことで最後の激登りは脚が動かずに本当に辛かったが、昨日より大幅に順位を上げての5位フィニッシュは素直に嬉しかった。総合も6位となり、トップ5入りも可能な位置まで上げることができた。
【Stage3:XCP 40km】
リザルト: 7位
天 候: 雨
コースコンディション: ウェット
第3ステージは同じコースを2周回する40km。昨日より1周減ったと思えば少し気が楽ではあるが、当然疲労は蓄積されてきているのでハードなレースになることは間違いない。またこの日は降水確率100%でスタートこそ雨は降っていなかったものの、山の上は雲がかかっていて間違いなく雨の中のレースとなることが予想できた。前日にかなり寒い思いをしたので、防寒対策もしっかり準備してスタート。
最初の登りから昨日より速いペースで進んでいくが、周りのペースを気にする余裕がないほどに自分の脚が重い。先頭集団どころか集団の最後尾に付いていくのだけでも精一杯の状況。総合成績で逆転するためにマークしていたギリシャの選手にも先行されてしまうが、脚がほぐれてくるまでの我慢だと耐える。山頂が近づくにつれて少しずつ踏めるようになってくるが、霧で視界がかなり悪くて10m先もよく見えない状況。目の前に目標とする集団が見えないので、精神的にも辛い時間が続く。
10位の2人パックで登り切り、長い下りに入る。道も覚えてかなりスムースに下れるようになってきたので、単独で抜け出て前の集団を追いかける。するとギリシャの選手2人が機材トラブルで止まっており、8位に浮上。さらに前の選手とは35秒の差と教えてもらい、2周目に入った。相変わらず霧で視界が悪くて前の選手と距離が縮まっているのか広がっているのかも分からない。登り切っても前に選手は見えてこないが、後ろを見れば先ほど機材トラブルで追い抜いたNo.1ゼッケンのギリシャの選手が追いついてきていた。さらにその後ろにも2人のパックが迫ってきていたので、ペースを落とさないようにギリシャの選手とパックになって高速ダウンヒルに入る。ライン取りも上手いので後ろに付いて走ることで非常にスムースに高速で下ることができて気持ちが良かった。しかし彼もここまでの追い上げで脚を使っているためか、登りではそれほどペースは上げてこない。このまま最後の激登りまでついていければ勝つことができそうだと考える。
ラスト1kmの激坂に入り、すぐにアタック。狙い通りにすぐに引き離すことができた。するとゴールまで残り500mというところで少し前にもう一人選手が見えてくる。最後の力を振り絞ってペースを上げ、登りきったところで追い抜くことができた。ゴールまでスプリントしてフィニッシュ。7位でのゴールとなった。
1周目はあまりにも脚が動かないのでどうなることかと思ったが、総合順位は6位をキープすることができた。最初から最後まで諦めなかったからこそ、最後にギリシャの選手と気持ちの良い戦いができ、順位をひとつ上げることができた。
明日のXCCもミスなく乗り切り、今の総合順位をキープできるようにベストを尽くしたい。
【Stage4:XCC 30min】
リザルト: 9位
天 候: 曇り
コースコンディション: ドライ
いよいよ最終ステージ。明日もXCOレースがあるのだが、ステージレースとしての総合成績が決まるのは今日までの合計タイムであるので、しっかりと走りきって総合6位を確定させたい。1周2km弱の街中のコースを6周するクリテリウムレースで、これまでのロングレースとは一転して30分間の短期決戦となる。ほぼアスファルトではあるがMTBでなければ走れないようなボコボコの路面で急勾配なアップダウンを繰り返し、特にラスト1kmからの登りが非常にきつい。それに加えて雨上がりで濡れた路面は大変に滑りやすく、落車のリスクも高いので全く気の抜けないコースであった。
2列目からスタート。疲労で固まった脚が解れるまで入念にウォーミングアップをしたおかげで、今日はスタートをしっかりと決めることができた。激坂区間でも脚が動き、1周目は先頭集団の後ろの6位で通過。2周目から3周目にかけて先頭の4人パックから遅れた選手たちがばらけてくるが、ここで粘り切れずにセカンドパックに入れなかった。とはいえ15秒先にはまだ選手が見えている。前の選手から2分以上遅れなければ総合6位が決定されるので、毎周回全力でプッシュしてタイム差が広がらないように追い込んだ。
そして最終周回。前後とも選手が離れてしまったが、あとはゴールまで出し切るのみ。しかし最後の登りに入ったところで運悪く釘を踏んでリアタイヤを貫通させてしまい、少しずつ空気が漏れてきている。このタイミングのパンクでなければピットまでの距離も遠いので大きくタイムロスとなり、総合順位を逆転されてしまう可能性もあった。それを考えると運が良かったとも言える。なんとか空気が抜けきる前にゴールまでたどり着き、9位でフィニッシュ。総合も6位を確定させることができた。
無事に4日間のステージレースを終え、UCIポイントを45ポイント獲得することができた。
自分より格上の選手が多い中で、全ステージで大きなミスなく走り切れたこと、特に第2ステージのマラソンレースで5位に入れたことが総合成績を上げることに繋がった。
身体の疲労は大きいが、明日のXCOに向けてしっかりと回復させていきたい。
大会名: Sparta MTB XCO race
開催日: 2019年4月7日
開催場所: ギリシャ・Sparta
カテゴリー: C2
リザルト: 7位
4日間のステージレースを終えて、休息日を挟むことなく5日目はXCO。
身体には疲労が蓄積されているものの、ほとんどの選手が連戦となっているので条件は同じ。ステージレースでポイントを取れたことは嬉しいが、あくまで自分の主戦場はXCOレースであるので内容としても今日がこの5日間で最も良いレースにしたいと考えていた。
具体的に言えばマラソンレースのように後半に追い上げて順位を上げるのではなく、前半から上位のパックに位置して積極的に勝負に絡んでいくレースがしたい。自分よりハイレベルの選手達と競り合う刺激は、たとえ負けても大きなモチベーションとなって次のレースに繋げることができる。昨日のXCCではその理想に近いレースができたので、その良いイメージを持ってスタートラインに並ぶことができた。
2列目からスタート。思っていたほどスタートのペースは速くない。最初の登りが長いこととXCOとはいえ8周回の長丁場であること、そして全選手が疲労していることが要因だろう。前半の登りはアスファルトと緩やかなジープ道で走りやすいが、後半は重たい泥でラインが1本しかない。そのため泥区間に入る手前でポジションを上げていき、5番手となる。ステージレースの時から地力の差があったギリシャとロシアの2選手は抜け出ているが、3位集団には入ることができた。集団でハイスピードの下りを集中してこなし、激登り区間では前に出て積極的にプッシュしていく。
5人の3位集団で2周目へ。この位置でレースを展開できていることは嬉しいが、パックの人数が多いので位置取りを失敗すると一気に順位を落とすことになるので油断できない。泥区間の前ではできるだけ前方に位置するようにし、ハイスピードで差を広げるのが難しいセクションでは後ろについて体力を温存。しかし激登り区間で後輪をスリップさせてしまった時に僅かに差が開き、この間に2名の選手に先行されてしまった。ルーマニアの選手と5位パックになって3周目へ。
体力を回復させたいタイミングであったが後方から追い上げてきたギリシャの選手が合流してペースを上げてくる。ルーマニアの選手は反応するが、自分は耐えきれずに遅れてしまった。まだゴールまでの周回を残した状況で単独での走行となってしまうが、後方には選手が見えているので追いつかれないように出来る限りのペースを維持しての走りが続く。
ラスト2周回。ルーマニアの選手とは20秒ほどの差なので目視できるのだが、あと少しの差を詰めることができない。この5日間で何度も登ってきた激登り区間は、脚だけでなく上半身の筋肉も相当に疲労していることを感じる。最後までプッシュしたが順位を上げることはできず、7位でのフィニッシュとなった。
後半にかけて順位を落とす展開となったので悔しさはもちろんあるが、目標としているレースをすることができたので満足する気持ちも大きい。UCIポイントも6P獲得することができた。ギリシャでの5日間を終えて、自分のコンディションが確実に上がってきていることを感じている。さらに高いレベルに行けるように、引き続き精進していきます。
多くの方々に支えられて、この海外遠征を終えられたことに感謝です。
また日本から応援を送っていただき、ありがとうございました。
今後とも応援のほど宜しくお願い致します。
TEAM BRIDGESTONE Cycling
沢田 時
使用機材
サスペンション SR
SUNTOUR AXON
シューズ
SHIMANO S-PHYRE XC9
ヘルメット Kabuto フレアー スペシャル・チームカラー
グローブ Kabuto PRG-5(レッド)
サングラス OAKLEY
FieldJacket(PRIZM TRAIL)
Jawbreaker (PRIZM TRAIL)
レース中:ピットインエネルギージェル
栄養ドリンク風味(カフェイン入り)
VAAM
レース後:リカバリーメーカーゼリー
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