2020年7月20日月曜日

CJ-1 菖蒲谷クロスカントリー:レースレポート


大会名:            CJ-1 菖蒲谷クロスカントリー
開催日:   2020719
開催場所:  兵庫県・菖蒲谷森林公園
カテゴリー: エリート男子
リザルト:        優勝
天 候:   晴れ
コースコンディション: ドライ

およそ4ヶ月ぶりとなるレースを兵庫県の菖蒲谷で迎えた。
世界中にパンデミックが起こった3月に欧州から帰国後、チームで綿密に計画してきたレーススケジュールは一旦全て白紙となってしまった。そんな中で延期されていた国内シリーズ開幕戦のCJ-1菖蒲谷大会が7月に開催されることとなり、参戦することを決めた。もちろん目標は優勝すること。ここで勝つために行なう準備とそれによって得られる自信は、最大の目標である日本一へ向けても確実にプラスに働くと考えた。レースが無いことを十分に準備する時間を貰ったチャンスと捉え、誰よりも強くなってこの日を迎えようと意気込んでいた。何よりもあらゆる判断が非常に難しい今の状況の中でレースを開催して頂くことに感謝の気持ちが大きく、出場するからには選手として最高のパフォーマンスを発揮したいというのは当然の想いであった。

3月の時点でも調子が上がってきていることは感じていたが、日本に帰国して練習だけに専念し出してからは更に飛躍的にパフォーマンスが上がっていった。パワー数値は全ての時間で自己ベストを大きく更新。また移動がなく生活が安定しているためか身体もストレスなく絞れていった。これまでは体重を落とすとただでさえ苦手なスタートダッシュの爆発力が落ちるのが課題だったが、今回は筋力もしっかりと残して減量できたので身体のキレがとても良かった。過去最高の状態だと言い切れる。この4ヶ月間で学んだことは、本当に強くなるためには焦らずにしっかりと時間をかけて正しい生活を積み重ねなければいけないということ。レースで調子は上がるかもしれないが、強くなるには練習しかない。当たり前のことだがレースが無い時間だったからこそ改めて気づくことができた。このことは今のコロナ禍が収まってからも忘れないようにしたい。

菖蒲谷のコースは近年の世界のXCOの特徴を強く意識したハードで素晴らしいコースだった。登りはしっかりと斜度があり、下りは非常に造り込まれていてジャンプセクションと急勾配なコーナーの連続。非常に難易度が高くて慣れないうちは1周走るだけで疲労を感じたが、地元の選手に最速ラインを教えてもらいながら徐々にリズムを掴んで楽しめるようになった。

土曜日はXCCが開催され、これは翌日のXCOでのスタート位置を決めるための前哨戦。4位までに入れば最前列に並ぶことができる。ショートコースを2周する約15分間の短期決戦。

スタートダッシュは今までの競技人生でベストではないかと思うほど完璧に決まったが、想定していたよりも直線の距離が長く先頭で長く踏み過ぎる形になってしまった。それでも最初の登りで集団から抜け出し2人のパックに持ち込めたが、2周目に仕掛けられたアタックに対応できずに離されてしまい2番手でのゴールとなった。久しぶりのレースと調子が良いことの興奮で、少し冷静さに欠けたレースをしてしまったように思う。しかし翌日に向けてスタートダッシュの位置取りと登りでのアタックポイント、調子の良い選手を見極められたことは非常に大きい。
敗れはしたがむしろ翌日のXCOに向けての自信を深めることができた。

龍野マウンテンバイク協会様より

龍野マウンテンバイク協会様より

そして迎えた本番のXCO。天気は薄く雲が掛かっている程度で晴れているが、かなり蒸し暑さを感じた。フィードにしっかりと周回数分の掛水を用意してもらう。他にも暑さ対策としてWAVEONEのウエアの中で一番涼しさを感じるデュアルスーツを選択。Kabutoの新型ヘルメットのIZANAGIも風の抜けが非常に良いので、このレースに最適であった。
ウォームアップの時は昨日より少し身体が重い感覚があったが、自分にとってそれはしっかりとエネルギーが満ちていて調子が良いサインである。

最前列からスタートループ+6周回のレースが始まった。昨日よりは落ち着いているが十分に速いペースの中で2番手の位置をキープする。滑り易いセクションで後ろの選手にミスがあったようで、平林選手と共に5秒ほど先行することができた。これはラッキーな展開。しかしスタートループでは仕掛けないと決めていたので、最初の登りは後ろからの追い上げを待つ。北林選手が勢いよく先頭に出てきたので、マークしながらスタートループを終えた。竹内選手を含む3名の先頭パックが形成されて本コースに入る。後ろの選手とは既に差が開いており、この2人に負けないことが今日勝つということだと直感で分かった。



コース最大の難所である「北壁」と言われる登りに入る。およそ3分半の登坂で序盤は緩いジープ道だが、最後に34-51Tのギヤを使うほどの激登りが現れる。ここで仕掛けようと思っていたが、登り口から北林選手のペースが速く前に出る余裕が無い。逆に最後の激登り区間で5秒ほど先行されてしまった。下りで更に差が広がり10秒差。離れていた竹内選手にも追い抜かれて3番手に落ちる。まずい展開であるが、まだ自分の中の限界は超えていないので焦らない。次のアタックポイントに向けて竹内選手の後ろで呼吸を落ち着かせることに集中する。





先頭からおよそ10秒の差で2周目へ。再び北壁の登りに入るが、登り始めてすぐに北林選手の背中が近づいてきていることが分かった。確実に追いつけると確信したところでペースを上げて単独となり、頂上手前で先頭に追いついた。後ろで息を整えながら相手の様子を観察し、アタックのタイミングを見計らう。コースがとにかくハードで回復に時間が掛かるので、一発で決めることが重要であった。余力は自分の方があることを確信し、狙っていた登りで先頭に出てペースを上げる。すぐに差は開いて15秒の差をつけて3周目へ。



前を追いかけている時は限界ギリギリの状態であったのに、単独で先頭に出ると身体がフッと軽くなった感じがする。レースでしか味わえない久しぶりの感覚にどんどんと集中力が増していくことが分かった。蒸し暑さでかなりの発汗量であったが、HALOのヘッドバンドのお陰で視界がクリアに保てていることも非常に助かった。フィードで毎周回掛水を貰いながら、身体のクーリングを心掛ける。



自分のペースを刻みながら、確実にタイム差を広げていくことができた。アタック後に少し落ちたラップタイムも後半にかけて取り戻し、最後は2分半以上の差を付けてゴール。
久しぶりのガッツポーズと小林監督とのハイタッチが最高に嬉しかった。


これで負けたのならば仕方がないと思えるほどに入念な準備をして臨むことができ、想像以上のパフォーマンスを発揮できたことに満足しています。もちろん自分のゴールはここではなく、日本一という目標に向けて更に力を磨いていきたいと思います。




レースが無い間もサポートをし続けて頂いたチームとスポンサー各位、小林監督、応援頂いた皆様、大会運営の方々、全てに感謝致します。ありがとうございました。
この勝利が今シーズンのスタートであることを願っていますが、今一番大切なのは世界中の人々の健康です。引き続き自分のすべきことには決して注意を怠らず、この先にどんな未来が待っていようと選手生活に真摯に取り組んでいきたいと思います。

今後とも宜しくお願い致します。

TEAM BRIDGESTONE Cycling
沢田 時

写真はSLmの中川さんより。いつもありがとうございます! 

使用機材
バイク         ANCHOR XR9http://www.anchor-bikes.com/bikes/xr9.html
サスペンション  SR SUNTOUR AXON

コンポーネンツ   SHIMANO XTR  M9100シリーズ(http://www.shimano.co.jp
シューズ         SHIMANO  S-PHYRE XC9

ヘルメット                Kabuto IZANAGI スペシャル・チームカラー
グローブ     Kabuto  PRG-5(ブラック)
                                   (https://www.ogkkabuto.co.jp)

ウエア        Wave One デュアルスーツ(http://www.wave-one.com)        
サングラス            OAKLEY 
         JawbreakerPRIZM TRAIL
        
サプリメント     SAVAS(株式会社明治)(http://www.meiji.co.jp/sports/savas/
          レース中:ピットインエネルギージェル
                栄養ドリンク風味(カフェイン入り)
                                 VAAM 
          レース後:リカバリーメーカーゼリー

メーター         Pioneer SGX CA-600 http://pioneer-cyclesports.com/jp/
ヘッドバンド   HALO (https://www.haloheadband.jp

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