2018年3月28日水曜日

UCI Class3 MTBA XC NATIONAL SERIES ROUND7 & ROUND8:レースレポート


大会名:            2018 MTBA XC NATIONAL SERIES ROUND7 & ROUND8
開催日:   2018324-25
開催場所:  オーストラリア・キャンベラ・Stromlo Forest Park
カテゴリー: UCI Class3 エリート男子
リザルト:        1日目5位 2日目6
天 候:   晴れ
コースコンディション: ドライ

2日間に渡ってオーストラリアで開催されたUCI Class3のレースに参戦してきた。このレースはオーストラリア国内でのシリーズ第7&最終戦でもある。オーストラリアは日本と季節が逆になるため、10月〜3月までがMTBシーズン真っ只中。ここを主戦場としているオーストラリアの選手は非常にレベルが高く、彼らと競り合うことはMTBシーズンが始まったばかりの自分にとって非常に良い刺激となる。


首都キャンベラにあるStromlo Forest Parkという広大な敷地のバイクパークの中には1日では走り切れないほどの無数のトレイルが存在している。2009年には世界選手権が開催された場所でもあり、コースの難易度は世界トップクラスと言って間違いない。

路面は固くしまっていてスピードに乗りやすい。しかし人工的なロックセクションやジャンプ、バームセクションが主体となって構成されているために、それらをスムースにクリアするテクニックが無ければせっかく出たスピードを殺してしまうことになる。そして上手い選手ほどセクションごとにどんどんとスピードをのせていき、無駄な力を使わずにより速く走ることができる。非常に上手く造り込まれているコースである。そして子どもの頃からこの場所で技術を磨いてきたであろう地元オーストラリアの選手たちは誰もが上手い。3年前に同じ場所でレースをした時も彼らの下りのスピードに圧倒された。ポイントとなりそうなセクションは試走の時にしっかりと確認したが、1番重要なことはレース中に単独での走行を避けること。位置取り争いでペースが上がりそうな場所をコースの特徴から想定し、思い通りにレースが進むように心身ともに万全の準備をして臨んだ。

1日目】
スタートは2番コールで一列目から。1番コールでオーストラリアチャンピオンのキャメロン選手はワークスチームに所属するトップ選手で頭一つ抜けている存在と言える。スタートダッシュは6番手あたりにつけて、最初のシングルトラックへ。落ち着いて前の選手に付いていく。ダブルトラックへ出た瞬間から位置取りを争ってスピードが上がるが、これには問題なく対応して順位を上げることができた。脚の調子はかなり良さそうだ。先頭パックでレースを展開することができている。下りではとにかく前の選手のライン取りやブレーキングをできる限り真似をすることで何とか付いていく。誤魔化しが効かずに離れてしまう箇所もあるが、少しの差であれば登りで取り返すことができた。

2周目に入るとキャメロン選手が圧倒して早くも独走体制。そして2位の選手から少しのタイム差で自分を含む3人の3位パックが追走する形となる。登りを使って単独で2位の選手に追いつき、苦手な下りを引っ張って貰えれば表彰台にかなり近づく。そう思って積極的に踏み込んでいった。

3周目。あと少しのところで2位の選手には追いつけなかったが、単独3位となることができた。後続の2人には登坂力では優っている自信があるが、やはり下りで数秒は縮められてしまうので油断ならない。だが自分が予想していた以上に身体が良く動いていることが楽しく、とてもレースに集中できていた。

しかし4周目。パフパフに乾いた下りセクションで前輪を取られて派手に落車。もっともやってはいけないミスを起こしてしまう。曲がったハンドルを直している間に2人に抜かれる。しかも落車の影響でフロントブレーキを破損してしまい、かなり走り難い状況。心が折れかけるが、まだ前の2人は見えているので諦めずに追いかける。

5周目。4位に上がるが落車のときに打ち付けた脚が固まって登りも辛くなってきた。下りはブレーキが破損しているので再び転倒しないように走るので必死。なかなかリズムを戻せないうちに3位の選手に離され、後ろの選手に再び追いつかれてしまう。4位争いをかけて最終周回へ。

この展開で競り勝つには下りに先頭で入って蓋をしてでも自分のペースで走り、登りで勝負をかけるしかない。相手もそれは分かっているので、ダブルトラックで位置取りを争ってアタックを掛け合う。死力は尽くしたが、もう足は残っておらずに下りに先に入られてしまった時点で勝負あり。5位でのフィニッシュとなった。

なんとかUCIポイントは1ポイント獲得できたが、表彰台を逃したことが本当に悔しい。しかし今日のレースでの自分の走りは去年までの自分にはできなかったパフォーマンスであり、確実に成長を感じることができて大きな自信となった。落車の影響で身体中は痛いが、前向きな気持ちで翌日のレースに備えることができた。

2日目】
レースの興奮と落車の影響であまり良く眠れなかったが、心配していたほど打ち付けた脚の痛みはない。壊れたバイクも小林監督に完璧に整備して頂き一切の不安はない。前日と同じ流れで朝のアップと食事を済ませて会場入り。調子が良いレースができた後ほど身体へのダメージも大きいので、昨日より苦しい展開になる覚悟を持って2日目に臨んだ。
コースは前日とは変わり、長く登って一気に下ってくるクラシカルタイプなコース。疲労している脚にとっては前日のコースほど斜度がキツくない登りは助かるが、ダウンヒル区間の難易度は増していて下っている時間も長くなる。どちらかと言えば昨日よりも苦手意識のあるコースではあったが、昨日果たせなかった表彰台に登るチャンスは今日しかないので意気込んでいた。

スタートはペダルキャッチを完全に失敗してしまい一瞬大きく出遅れるが、この後に長い登りを控えていることと強い向かい風の影響があってか昨日ほど集団のスピードは速くない。なんとかシングルトラックに入るまでに8番手あたりまで順位を戻すことができた。ダブルトラックでは前日同様に位置取りをかけてペースが上がるが、この時点で昨日ほどの脚のキレがないことを感じてしまう。なんとか先頭集団の後ろとなる6番手で長い登りへ入った。斜度は緩いもののタイトターンの頻発する登りなどで、どうしても前の選手と詰まってしまって走り難い。ストップ&ゴーを繰り返すインターバルのような走りになってしまったことでかなり脚を削られてしまった。シングルトラックを登り切ってから下りに入るまでの間に僅かにコース幅が広がる区間があるのだが、ここでの位置取り争いに参加できずに先頭集団から遅れてしまう。後ろから選手も来ないので早々に単独での走行となってしまった。

2周目。登り区間でも先頭集団との差は広がっていく。まだ2周目だが昨日のレースの最終ラップのように脚が辛い。後ろから2名の選手が追い上げてきているのが分かったが、あまり気にせず前だけを見てスムースな走りを心掛ける。

3周目。2分後ろからスタートしたジュニアクラスの世界チャンプに追いつかれてしまった。彼の後ろに付いて走り方を真似してみるが、ライン取りや加速のタイミングなどあらゆる細かい技術を積み重ねた本当にスムースな走りだった。ケイデンスが常に一定で全くブレがない。なんとか登り終わりまでは食らいつくことができたが、下り区間に入ればダウンヒル選手かのようにジャンプを多用して加速していくので、あっという間に離されてしまった。

4周目。先ほどの周回で走りのリズムを取り戻してきたことで今できる最大限のペースを保てている。6番手の選手を視界に捉え、ファイナルラップ手前で追いつく。

そして最終周回。20秒ほど前に5番手の選手も見えてきた。彼を抜かせばUCIポイントを獲得できるので最後の力を振り絞る。しかし下り区間でバイクを抑えられずに転倒。バイクが綺麗に一回転したが、幸い身体にもバイクにもトラブルは無くすぐに立ち上がって走り出すことができた。

昨日に引き続いて砂埃まみれとなって6位でゴール。目標であった表彰台とUCIポイントは獲得できなかったが、オーストラリアの観客からの暖かい拍手に迎えられると全てを出し切った清々しい気持ちになれた。共にレースを戦った選手と言葉を掛け合う時間も最高に気持ちが良かった。

2周目から最終周までほぼ同じラップタイムで走り切れたことは、このレースの良かった点でもあり課題でもある。やはりレベルの高いレースほど序盤の位置取りが全てと言っていいほど重要で、2日続けては表彰台に絡む走りができなかった自分にはまだまだスピードが足りていない。もちろん下りのスピードも足りていないが、最初の登りで先頭集団に残るだけの脚があれば周りの選手に合わせて単独では出せない速度で下れることもよく分かった。こういったレースでしか味わえないような経験が刺激となって、これから更に調子を上げていけるはず。今年は良い形でシーズンをスタートできているので、過去最強の自分に必ず辿りつけると思う。

そしてシーズン前半最大の目標である5月のアジア選手権まで残り40日ほどとなった。ここからの貴重な時間を大切に過ごしていきたい。

次戦はアメリカでのUCI H-Class2連戦を走ります。ワールドカップ並みにレベルの高いレースとなるので、日本でしっかりと身体を整えて万全の体調で臨みたいと思います。

応援、サポートありがとうございました!

TEAM BRIDGESTONE Cycling
沢田 時

使用機材
バイク         ANCHOR XR9http://www.anchor-bikes.com

サスペンション  SR SUNTOUR AXON

コンポーネンツ   SHIMANO XTR Di2 M9050シリーズ (http://www.shimano.co.jp
シューズ         SHIMANO  S-PHYRE XC9

ヘルメット                Kabuto ゼナード スペシャル・チームカラー
グローブ     Kabuto  PRG-5(ブラックレッド)
                                     (https://www.ogkkabuto.co.jp)

ウエア        Wave One (http://www.wave-one.com
         Legge Fit Pro
         
サングラス                OAKLEY (http://jp.oakley.com
         JawbreakerPRIZM ROAD
        
サプリメント        SAVAS(株式会社明治)(http://www.meiji.co.jp/sports/savas/
          レース前:ピットインエネルギージェル
                栄養ドリンク風味(カフェイン入り)
                            レース中:VAAM
          レース後:リカバリーメーカーゼリー

ヘッドバンド   HALO バンディット (https://www.haloheadband.jp
         


2018年3月13日火曜日

UCI Class3 Asia Mountain Bike Series:レースレポート


大会名:            UCI Class3 Asia Mountain Bike Series
開催日:   2018310
開催場所:  フィリピン・Binangonan
カテゴリー: エリート男子
リザルト:        2位
天 候:   晴れ
コースコンディション: ドライ

2018年のMTBシーズン初戦をフィリピンで迎えた。
このレースはアジアシリーズの第1戦でありUCI Class3の大会でもある。ここから始まるシーズンに向けて弾みをつける内容のレースをすると共に、きちんと結果を残して貴重なUCIポイントを獲得したい。12月の全日本シクロクロスを終えてからの3ヶ月間、新たにウエイトトレーニングなども取り入れながら練習を重ねてくることができた。久しぶりのレースをとても楽しみにしていた。

しかし少し練習を詰め込み過ぎてしまっていたのか大会一週間に肋骨を疲労骨折していることが判明。身体に衝撃を与えないためにレースまでの一週間は必然的にローラーのみでの練習となる。きちんと強度と量を管理できるのがローラー練習の強みであるので、レースに向けたピーキングの計画を立てて着実にメニューをこなしていった。レースが近づくに連れて身体の疲労は抜けて気持ちも前向きになり、日常生活でも殆ど気にならない程に肋骨の痛みも消えた。久しぶりの実走となったレース前日のコース試走でも違和感は全く無く、むしろ細かいアップダウンとコーナーを繰り返す自分が得意とする部類のコースであったことで自信を持つことができた。

今回は日本ナショナルチームとして自分と平林選手、前田選手に個人参加の中原選手を加えた4名の日本人が参戦した。優勝を狙うライバル同士ではあるが、4人で潰し合う走りをするのではなくて上手く協調しながら速いペースでレースを展開して日本人で表彰台を独占できれば最高の結果となる。ライバルはカザフスタンのキリル選手。過去にアジア選手権の表彰台に何度も登っている選手で、自分も去年の東ティモールのレースでは彼に敗れている。今年5月に開催されるアジア選手権を前に絶対に勝っておきたい選手だ。

現時点でUCIランキングはアジアの中でトップであるためNo.1ゼッケンの1番コールでスタートに着く。やはり気持ちが良い。シングルトラックしかなくて抜きどころが非常に少ないコースであるので、最初のアスファルトを含む登りを終えるまでに日本人で上位を固めておくことが大切。前田選手と中原選手が良いスタートを決めて先頭を引っ張り、それに続いてキリル選手と平林選手、自分が続いていく。後ろを振り返るとこの5人が完全に集団から抜け出していたので、狙い通りにレースが進められていることを後ろから声を出して前の2人に伝えた。


2周目に入ると登りでキリル選手が仕掛けてくるが、これには自分と平林選手が反応して逃げさせない。そしてシングルトラックの登り口でキリル選手がミスをして足を着き、この間に平林選手が先頭、自分と前田選手が2番手に上がる。キリル選手はミスをした際にチェーントラブルを起こしたらしく一気に差が開いた。今が最大のチャンス。3人で声を掛け合いながらペースを上げていく。このまま3人でいければ最高であったのだが、平林選手のペースが速くて自分が中切れを起こしそうだったので前田選手に2番手を変わってもらう。先頭の2人からは10秒ほど遅れてしまったが、前の2人を目標にして走ることで自分もペースを落とさずに後ろのキリル選手を振り切ることができた。



3周目に入ると平林選手が単独で抜け出し、自分は前田選手に追いついてセカンドパックとなった。前田選手と良いペースで周回を重ねることでペースを取り戻し、平林選手との差も少し詰まって20秒ほど。コーナーのたびにお互いの姿が見えるので、それが刺激となって上位3人の誰もが良いペースを刻めていたと思う。
残り2周回。疲れが出てきた自分と前田選手に対して、平林選手は強くて1分ほど先行される。4番手のキリル選手は完全に引き離した。こうなれば最終周回では確実に2位に入ることを意識。前田選手とのスプリント勝負は自信がなかったので、仕掛けどころはラスト1キロにあるフィード地点の短い登り坂と決めていた。そこまでのシングルトラックは先頭で走って自分のペースで息を整える。アタックは上手く決まり、あとは全開で追い込むのみ。そのまま2位でのフィニッシュとなった。


優勝はできなかったが、今回の自分の走りには満足することができた。3ヶ月間取り組んで来た練習内容が正しい方向に進んでいることを確認できて安心した気持ちも強い。UCIポイントは6ポイント獲得することができた。ここから5月のアジア選手権までに海外のレースを4戦ほど走る予定なので、更に調子を上げていきたいと思います。

日本からは沢山の応援と表彰台を独占できたことへの祝福のメッセージを頂きました。
本当にありがとうございました。
5月の八幡浜大会がアジアシリーズの第2戦として開催され、アジア選手権直後のナショナルチームのメンバーも全員参戦する予定です。せひ会場まで応援に来て頂けたら嬉しく思います。

今シーズンも宜しくお願い致します。

TEAM BRIDGESTONE Cycling
沢田 時



使用機材
バイク         ANCHOR XR9http://www.anchor-bikes.com

サスペンション  SR SUNTOUR AXON

コンポーネンツ   SHIMANO XTR Di2 M9050シリーズ (http://www.shimano.co.jp
シューズ         SHIMANO  S-PHYRE XC9

ヘルメット                Kabuto ゼナード スペシャルJAPANカラー
グローブ     Kabuto  PRG-5(ブラックレッド)
                                    (https://www.ogkkabuto.co.jp)

ソックス        Wave One (http://www.wave-one.com
        
サングラス                 OAKLEY (http://jp.oakley.com
         JawbreakerPRIZM ROAD
        
サプリメント     SAVAS(株式会社明治)(http://www.meiji.co.jp/sports/savas/
          レース前:ピットインエネルギージェル
                栄養ドリンク風味(カフェイン入り)
                            レース中:SAVASスポーツウォーター 
          レース後:リカバリーメーカーゼリー

ヘッドバンド   HALO バンディット (https://www.haloheadband.jp